BOF:TT [THE BMS OF FIGHTERS : TT -Sonata for the 20th Ceremony-]

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  • > うーん、これはdesignだ。今回もまた大層な言葉をタイトルに用いていらっしゃったので、再度意味を確認するために、ひいてはこの作品の良さを自分なりに探るために、Oxford Advanced American Dictionaryという辞書からdesignという語を引いてみました。
    > 恐らく辞書によって紹介されている意味に差異があるのかもしれませんが、私が読んだ辞書では5つほどの意味と2つのイディオムが綴られていました。私は作品を楽しむ際に必ずテーマを重視している身なので、まずはそちらについて紹介してから、私自身の感想に移ろうかと感じています。
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    > さて、辞書を引いて真っ先に目に入るのは最初の「the general arrangement of the different parts of something that is made, such as a building, book, machine, etc.」という説明です。ふむふむ、designという語は、大雑把に言えば「人間が創り上げたものについての編成」を表している語なのかもしれないな、とこの時点では感じさせられるでしょう。確かに、この説明の上に、「arrangement」という見出し語が書かれているため、designという語の大きな意味の1つとして、そのような趣旨が含まれているのは間違いないのかもしれません。
    > 次に目を通すと「drawing/plan/model」という見出し語が書かれており、「the art or process of deciding how something will look, work, etc. by drawing plans, making models, etc.」、「design (for something) a drawing or plan from which something may be made」という説明が並んでいます。つまるところこれは「誰かのためにものを設計する行為」という意味でのdesignです。もしかしたらこれが今回の作品の趣旨に一番近い意味なのかもしれませんね。
    > その次には「pattern」という見出し語の下に「an arrangement of lines and shapes as a decoration」、これは「飾り付けについての編成」ということで、対象自体は違うものの、先程の「arrangement」と趣旨は大体一緒です。
    > またその次には「intention」で「a plan or an intention」、これは「何かを企てる」もしくは「何かを意図する」という意味でのdesignで、これは歌詞中でも直接言及されている意味でもあると感じています(特に「I raised/chose you just as you raised/chose me by accident or by design」という節で)。ちなみに、この意味に関連するイディオムに「have designs on something」というものがあり、これは「誰にも気付かれないように、何かの物事を企てる」という意味でもあります。例えば、一人の人へのサプライズ・パーティーを仲間と一緒に企てる時などにこのような事を言ったりするのではないのでしょうか。
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    > さて、ここまで取り敢えずdesignという語について色々調べたことを述べました。その上でこの作品について端的に述べれば、designの賜物であると言えるでしょう。
    > はじめにそれを感じ取れるのは、この作品の野心的な編成にあります。勿論、氏のこれまでの作品から考えると、もはやそれが氏の個性と説明することができるでしょう。しかし、今回の作品はとことんシンフォニックな編成という意味においての野心ではなく、尤も、折衷的な編成を上手く組み上げるという点での野心です。それは前作の「LIFE」にも共通していたことであるとは感じていますが、私個人としてはこちらの方がよりその試みが洗練されているように感じます。
    > 過度に加工されたボーカルに関しては最初聴いた時は少々奇妙に感じたのですが、聴いていくにつれて寧ろ、この作品のエレクトロニックさとオーガニックさの橋渡し的な存在となっているように感じ取れたので、最終的にはあまり気にならなくなりました。これはこの作品の立派な「a plan or an intention」になっていますね。
    > そして次にdesignの賜物であると感じ取れるのは、歌詞です。この作品のジャンルが「Art」と書かれていたので、この作品の歌詞は芸術をdesignしていくことについて表しているのかと最初は感じていたのですが、よくよく歌詞を読んでみると、氏が第四の壁を破ってこちら側へ語りかけているように感じ取れるものだと気付きました。
    > 私は実のところ語彙力が無いので、あまり聴き慣れていなかった単語(例:「已己巳己」、「Skeuomorphism」、「Goldilocks Zone」、「彳亍」)について適宜調べながらこの作品を読み取っていました。正直な話、それまではあまり使われていない言葉を曲中に扱うのは諸刃の剣とも形容できる試みであると感じていたことをここで正直に明かしておきましょう。ただ、この作品について詳しく知りたいがために調べていくと、段々とこの作品が伝えたいことが読み取れてきたので、上手くdesignされた宝の地図から宝探しをしているような気分になりました。これこそ、accidentからdesignされたものを発見できた好例です。
    > 最後に挙げられるのが、この作品のdesignです。ここでいうdesignとは、大まかに設計という意味でのdesignです。最初に挙げた事と割と近いことでもあると感じていますが、この作品の譜面から何まで、この作品は実によくdesignされています。譜面上でのギミックをここまで上手く楽曲にはめ込めている作品というのも中々少ないものでしょう。
    > 個人的にこの点で一番好きなのは実はこの作品のサビのdesignです。耳に残るようなメロディのdesignから、「I raised/chose you just as you raised/chose me by accident or by design」という少々神秘的なニュアンスを秘めた歌詞のdesignまで、この作品の最大の肝と言えるほど実に良く際立っています。このサビのdesignがこの作品についての満足感を大きく高めていると言っても過言ではないと私個人としては感じています。
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    > さて、ここまで色々述べてきたわけですが、accidentだったにしろ、designだったにしろ、非常によくdesignされたこの作品に出会えて私としてはとても良かったと感じています。実際、一つのBMS作品に対してこのようなdesignができる人は大前さん一人だけしかいないとまで感じているので、その意味で私はこの作品に出会えて嬉しく思っています。「Skeuomorphismが あなたをつくるわけじゃない ただあなたはあなたになればいい」という歌詞がありましたが、これはそれまで一線を画した作品を出してきた氏だからこそ綴れる歌詞だと感じています。
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    > もし1つ気になった点があったとしたら、特にサビで、少々大前さん本人の歌声が思うほど際立っておらず、コーラスやインストゥルメントにかき消されてしまっているように感じた点です。氏がdesignした作品ということなので、私としてはもう少し氏本人が前に出されていれば説得力が増したのではないかと感じています。ただ、それについては大きな欠点であるとは一切感じておらず、寧ろそれは些細な点の中においての話です。この点がdesignなのかaccidentなのかは分かりませんが、どちらにしてもdesignを破綻させるようなものではないことだけは明記しておきます。
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    > おっと。そう言えば、2つあるうちの1つのイディオムについては紹介していましたが、もう1つについてはこの文章内で明かしていませんでしたね。いやはや、私は肝心なことを忘れてしまう人間なもので。今からそれについて書いても冗長になってしまうだけなので、それは調べてみてからのお楽しみということにしておきましょう...
    > ここまで変なdesignで文章を述べてしまいましたが、伝わっていると嬉しいです。私はあなたを愛しています。
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    > 💋